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TWのPBWシルバーレインに参加している光狩・鎌夜の日記です。 興味の無い方は(といってもほとんどの方でしょうが)回れ右を推奨ですよ?
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さて、シャトンとの外出をSSにしてみました
とは言え、本当に久しぶりに筆を取ったのでやや精彩に欠ける部分が多いとも思いますが……

とても楽しい一日になりました。また一緒に何処かに出かけたいものです


義兄妹の初めてのお出かけ

~早朝のお弁当作り~
好く晴れた8月のある日、鎌夜はいつもよりも早く起きてキッチンに立っていた。
理由はいたって単純で、今日は義妹とのはじめてのお出かけの日、早起きしてお弁当の準備をしていたのだ。
「さて、トマトにレタス、ゆで卵、ハム、キュウリ、チーズ。まぁ、具はこんなところでしょうかね」
一通りの具を用意し終わったところで、勢いよくキッチンのドアが開かれ元気一杯の声がキッチンに響いた
「おはようございます、兄さんっ♪」
元気な義妹の登場である
「おや、おはようございます。随分と早かったですね」
鎌夜は少し意外そうな表情で可愛い義妹を見つめるも、すぐに優しい表情になり挨拶を返す
シャトンが早めに来る事は予想していたが、まさかこんなに早く来るとは思っていなかったのである
「きっと兄さんは早起きしてお弁当を作って下さってると思ったので、不肖の妹としてここは手伝わない訳にはいきませんから!」
「おやおや、嬉しい事を言ってくれますね。では一緒に作りましょうか♪」
元気一杯の笑顔でシャトンに鎌夜が嬉しそうに答える。シャトンは大好きな義兄を手伝う為なら早起きも苦ではない!といった表情だが、実は楽しみのあまり目が冴えてしまって随分と早く目が覚めてしまったというのは内緒の話だ

その後は二人で一緒にお弁当のサンドイッチ作り
食パンを二つに切り分けてバターを塗り、鎌夜が用意した具材を挟んでいく
「Sur le pont d'Avignon,L'on y danse, l'on y danse…♪」
義兄と一緒に料理するのが楽しいのかシャトンはいつの間にか鼻歌交じりで料理をしていた
しかし、ふと自分と鎌夜の手際を見比べると、料理が趣味と言っている鎌夜に比べて自分は随分と劣って見える
「……本当なら私一人で作れる料理があればいいのだけど……切る、煮る、焼くの三拍子しか出来ない私にはこれが限度なのです……ミレディの事、笑えないわね……」
溜息混じりに本音が出てしまうが
「さて、完成ですよ。シャトンもよく頑張りましたね、お昼が楽しみですよ」
この嬉しそうな義兄の一言でそんな沈んだ気持ちもどこかへ吹き飛んでしまう
「では、水族館に行きましょう。今からなら丁度いい時間に着くと思いますよ」
二人で忘れ物が無いかチェックをし、並んで出かける
「(あぁ、久しく忘れていたこの気持ち。私は今、幸せなんだと思います。ありがとうシャトン)」
鎌夜は新しく出来た家族との初めての外出に心を躍らせながら、しかし、恥ずかしいので悟られないように努力をしながら水族館に向かうのだった

~水族館って凄い!~
「わわわ……すごい……」
シャトンが今日何回目かの感嘆の声を漏らす
世界を旅してきたシャトンだが、水中を見るのも、生きた大量の魚達を見るのも初めてのようで、先ほどから「すごい」「綺麗」といった感想が止まらないようだ
涼しげな青い世界に大小さまざまな水槽と魚達。その中をサンドイッチの入ったバスケットを片手に義兄に寄り添ってシャトンは歩いていた
ちなみにシャトンは帽子こそ無いものの格好はいつもと変わらない。どうやら、お洒落というものを意識する事があまり無い性格のようだ。が、鎌夜は本当にいつもの格好……メイド服である
白いシャツと黒いスカートのシャトンとやや古風なエプロンドレスの鎌夜。周囲の人の注目は水槽半分、一見姉妹に見えるこの兄妹半分といったところのようだが、そんなことはこの兄妹には関係ない様子。実に楽しそうに水族館を見て回っている
そうするうちに水族館の目玉の一つ、海中トンネルにやった着た。上も左も右も、沢山の魚で溢れていて、大きな鮫が悠々と、我物顔で真上を通ったかと思うと、右手側ではカラフルな魚達が群れを作り、左手側では座布団の様な大きなエイが、笑顔にも見える白い顔を見せてシャトンの目の前を行ったり来たりしている。どうやら随分と自己主張の強いエイのようだ
それに影響されたのかシャトンが不思議な対抗心を燃やし、にらめっこのような心持でじっと白い顔を見つめていると
「シャトン、それはエイのお腹なんですよ。本当の顔は表側にあります。ほら」
と、鎌夜が少しだけ悪戯っぽい口調でシャトンに声をかける
何とも言えない気恥ずかしさと謎の敗北感に襲われつつもシャトンは随分とエイが気に入ったようで、お土産物を売っている売店でエイのぬいぐるみを頑張って探したが、ややマニアックなものらしく結局見つけることが出来なかった

~公園でお昼ごはん~
「さて、お昼ご飯は何処で食べましょうか? 近くに公園でもあると良いのですが」
水族館を満喫した二人はペコペコになったお腹を満たす為に外へ。そこで鎌夜がシャトンに話しかけた
「少し歩いたところに海浜公園があるみたいですね……そこでお昼にしましょうか兄さん♪」
シャトンが観光用の看板を見ながら義兄に笑顔で伝える
外は雲一つ無い快晴。日差しは強いが心地好い風が吹き、少し歩くのも苦ではない
公園に到着し、手ごろな場所で持ってきたバスケットを開けると、そこには朝二人で作ったサンドイッチがぎっしり。鎌夜の提案で入れた保冷剤がいい具合に効いたようでバスケットの中はひんやりしていた
二人で一緒に「いただきます」と手を合わせ、シャトンは手近なところのサンドイッチを一つ取り出す。やや歪な形をしているところを見ると、これは自分が作ったものだろうか? 等と思いつつ一口パクリ。うん、味は悪くない。まぁ、サンドイッチを不味く作る方が難しいのかもしれないが……
早々に一つ食べ終え次のサンドイッチに手を伸ばす
これは多分鎌夜が作ったものだろう。先程のと比べて形が整っている
一口食べるとなんだかさっきよりも美味しいような気がする。作る工程も材料も全く同じ、一体何が違うというのだろう? しかしまぁ、そんなことよりも美味しければ正義なのだ♪
「シャトンが作ったのは美味しいですねぇ♪」
と、鎌夜も上機嫌でサンドイッチを食べている。しかも、シャトンが作ったのばかりを食べている様子。兄馬鹿が急速に進んでいる鎌夜は自分が作ったのよりもシャトンが作った方が食べたいようだ
「ああ、そうそう、忘れるところでした」
シャトンがぽむと手を叩き思い出したようにサンドイッチを鎌夜の方に差し出して
「はい兄さん、あ~ん♪」
と満面の笑みで催促
「いやはや、やっぱりシャトンには敵いませんねぇ……あ~ん」
と、苦笑気味ではあるが、鎌夜も恥ずかしいながらも嬉しいようで素直に従う
そんなこんなで沢山あったサンドイッチもあっという間に無くなっていき、ご馳走様という頃には綺麗さっぱり空っぽになっていた

~兄さんの事をもっと知りたいのです!~
「満腹になると幸せになるって本当なんですね~……世界中の人々が満腹になれば戦争も紛争も起きませんよ、きっと……」
「そうかもしれませんねぇ。でも、学園の敵はどうなんでしょうかね?」
「あ、銀誓館のの敵が満腹するには残留思念を食べなきゃだから、私達の戦争は終わらないんでしょうか……にゃふ~……」
サンドイッチを平らげて幸せ一杯といった表情のシャトン。鎌夜も満足そうな微笑を浮かべて食後ののんびりとした時間を向えようとしていた
このまま、まったりと義兄とのんびり過ごすのも魅力的ではあったのだが、シャトンには鎌夜に聞きたいことがあった。それは、
「そうそう、折角ですから今日は色々と兄さんの事を聞きたいんですよ!」
「私の事ですか?」
義兄妹になったとはいえシャトンは鎌夜の事をほとんど知らない。鎌夜が自分の事はあまり喋らないと言うのもあるが、やはり義妹としてはある程度義兄のことは知っておきたかった
今日の水族館ではどんな魚が好きだとか、学園での思い出、仕事の話。そして、鎌夜の過去の話……
「私は支えてもらってばかり、甘えているばかりで兄さんの力になれていませんから……少しでも力になりたいのに、私は無力で何も出来なくて……人の心も掴めなくて……本当に、ダメな、不肖の妹で……」
兄のことが知りたい。そう思うほどに自分の不甲斐無さが見えてきて話すうちに落ち込んでしまう
「シャトン……大丈夫ですよ」
不意にシャトンは鎌夜に抱きしめられた。優しく、暖かく、心強い感触。その感触に包まれるうちに、心も落ち着いてくる
「あれ……?兄さんの話が聞きたかったはずなのに…私の気持ちなんてどうでもいいですよね、うん! ……え、ええと、ささ、兄さんのお話を色々とどーんとお願いします!」
人前で抱きしめられて少し照れくさくなったのかやや、顔を赤らめて照れ隠しに元気に振舞うシャトンに鎌夜は優しく微笑んで
「では、少し昔話をしましょうか。ちょっと暗い話ですが、そこは許してくださいね?」
と、自分の過去を話し始めた
「私がこの学園にはいる数年前に私は交通事故で家族を全員失いました。
父、母、弟、そして……妹。信号待ちをしているところにトラックが突っ込んできたんですよ。能力者を狙って行われたモノでした。事故に見せかけて私を消すつもりだったんでしょう
本来なら一家全員死んでいるところでしたが、当時の私には白燐蟲と黒燐蟲が寄生していたので、一命を取り留めました。
暫くの間、1~2年くらいですかねぇ。本気で復讐をするつもりで活動していましたよ。その間も命も狙われましたし実際に大怪我を負った事も何回かありました。
そんな中ですかね、学園の関係者が私の前に現れて、私を保護してくれたんです。転入手続きや、当面の生活費の工面なんかは学園が手配してくれました。
学園での生活は私には眩しかったですよ。なんせ、私は復讐しか考えて生きてこなかったのに皆はこんなにも楽しそうに生きていたんですから。
その頃からでしょうか、復讐がだんだんどうでもよくなってきて、そして、私を消そうとした人たちの事を知るにつれて、その人たちを哀れに思えてきて、復讐は止めました。
その後は、本当に色々ありました。戦争でメディックに所属したり、様々な結社で色々な人と交流したり、節目節目の行事に参加したり、そして結社:友好でシャトン、貴女と出会い、貴女が義妹になった。
家族の居ない私に貴女は再び家族を与えてくれた。それは私にとって最上の救いであり、何にも代えがたい素晴らしい事です。ですから私は、貴女を誇りに思いますし、貴女の事は命を懸けてでも守り通します……」
その後も暫く続いた鎌夜の話をシャトンはじっと聞いていた。普段優しそうな笑みを浮かべ、誰にでも優しく、戦争では忙しそうに支援に奔走し、自身の過去をほとんど喋らない義兄の過去を初めて聞いた
これほど長く自分の事を喋る義兄の姿を見るのはシャトンにとっても初めてだった。それだけ、自分を信頼してくれているのだと思うと嬉しさが込み上げて来る

~楽しかったお出かけももう終わり~
鎌夜の長い話が終わる頃には日も沈みかけていた。義兄の話を聞いているうちにシャトンは義兄への感謝の気持ちが大きくなっていくのに気が付いた
「なんだか最近、私の夢も自己満足な気がして……頑張ろうとして何もかも空回りな気がしてきて……なんだかいろいろと嫌になっちゃってて……」
暗い表情で話していたシャトンだったが不意に、
「ですから、今日は連れ出して頂き本当にありがとうございました、兄さん♪」
満面の笑みで鎌夜に礼を言う
そこに先ほどの暗い表情は見る影もなかった。本当に嬉しそうな、安心が見える良い笑顔だ
それを見て鎌夜も笑顔を浮かべる。やはり義妹には笑顔でいて欲しい。それは鎌夜の偽りのない気持ちだ
「……一つ思ったのですけど…これってデート…だったんでしょうか? なんだか違う気もするし…違わない気もするし…むむむ?」
くるくると目を回して考え込むシャトンを見て鎌夜もふと考える
「(デート……ねぇ。ふふ、そうかもしれませんね。可愛い義妹とのデートは楽しかったですよ。シャトン)」
そう思うが、声には出さない。気恥ずかしいと言うのもあるが、わざわざ声に出すほどの事でもないと思ったからだ
「う~ん……私自身がわからないということは多分、違うんですよね♪」
義兄とは違う結論をだした義妹だったが、その表情は相変らず楽しそうだ
「それでは、名残惜しいけれど…またの機会があれば、是非!」
そういってシャトンは河川敷にあるダンボールハウスへと帰っていった

~ちょっとした後日談~
この義兄妹達の記念すべき日から数日後。鎌夜の家に住人が増えた。もちろん義妹のシャトンである。あの日の後、鎌夜は急いで自分の家(元々は一家で暮らしていた家)の部屋を整備してシャトンを迎える準備をしたのだ
「さぁ、シャトン。ここが貴女の新しい家です。改めてよろしくお願いしますね♪」
そういう鎌夜の表情は今までで一番輝いている笑顔だった

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